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生命保険料控除を徹底解説【控除の種類や対象となる保険商品は?】

生命保険料控除を活用すると、所得税や住民税の負担を軽減できます。しかし、仕組みや申告方法に不安を感じる方も多いです。この記事では、生命保険料控除の概要から計算方法、申告手続き、節税のポイントまで詳しく解説します。

記事を読めば、生命保険料控除の仕組みを理解し、効果的に活用する方法がわかるので、ぜひご覧ください。生命保険料控除を正しく活用すると、最大で数万円の節税効果が期待できます。

生命保険料控除の概要

生命保険料控除は、生命保険加入者の税金を軽減する制度です。所得税と住民税から一定額を差し引けます。対象は以下の3種類です。

  • 生命保険料
  • 介護医療保険料
  • 個人年金保険料

毎年12月31日時点の契約が対象です。控除限度額は以下のとおりです。

  • 所得税:最大12万円
  • 住民税:最大7万円

新旧2つの制度があり、控除を受けるには、保険会社発行の証明書が必要です。
» 生命保険とは?仕組みや種類を解説

にじおと
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新・旧どちらの保険に加入している場合でも、控除額の最大は所得税12万円、住民税7万円になりますので注意してください。

生命保険料控除の種類

生命保険料控除を利用すると、税金の負担を軽減できます。生命保険料控除の種類は、以下のとおりです。

  • 一般生命保険料控除
  • 介護医療保険料控除
  • 個人年金保険料控除
  • 旧生命保険料控除
  • 旧個人年金保険料控除

一般生命保険料控除は、死亡保障を目的とする保険が対象です。介護医療保険料控除は、医療保障や介護保障を目的とする保険が該当します。個人年金保険料控除は、老後の生活資金確保を目的とする年金保険が対象です。旧生命保険料控除と旧個人年金保険料控除は、2011(平成23)年12月31日以前以前に契約した保険に適用される制度です。

新旧の制度が混在しているため、加入している保険の契約時期を確認しましょう。生命保険料控除を適切に活用すれば、税金の負担を軽減できます。ただし、控除の適用には条件があるので、詳細は専門家へ相談しましょう。

生命保険料控除の対象となる保険商品

生命保険料控除の対象となる商品は、生命保険や介護医療保険、個人年金保険などがあります。対象の保険に加入すると、税金の軽減効果が期待できます。保険商品がどの保険料控除に該当するかは、以下を参考にしてください。

一般生命保険料控除

  • 終身保険
  • 定期保険
  • 養老保険
  • 学資保険
  • 収入保障保険
  • 変額保険
  • 変額個人年金保険

介護医療保険料控除

  • 医療保険
  • がん保険
  • 特定疾病保険
  • 介護保険
  • 就業不能保険

旧制度の場合介護医療保険料控除がないため、基本的には旧一般生命保険料控除の対象となります。

個人年金保険料控除

  • 個人年金保険
  • 外貨建個人年金保険

勤務先で加入している団体保険も控除の対象になります。上記の保険種類でも特殊な商品だと、異なる保険料控除になる場合もあります。加入中の保険がどの控除に該当するかは、書類を見たり、保険会社に確認することが確実です。

にじおと
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個人年金保険でも、「個人年金保険料税制適格特約」がついていない契約は一般生命保険料控除になります。特約を付帯するためにはいくつか条件がありますので、これから加入を検討する方は担当者に必ず確認してください。

保険商品に加入する際は、自身のライフスタイルやニーズに合わせて選択しましょう。控除対象となる保険に加入することで、保障を得ながら税金を軽減できます。

新制度と旧制度の違い

新制度と旧制度の違いは以下のとおりです。

  • 適用される契約時期
  • 控除の区分
  • 控除額

新制度は2012年1月1日以降に契約した保険が対象です。旧制度は2011年12月31日以前に契約した保険が対象となります。控除の区分は、新制度では「一般生命保険料」「介護医療保険料」「個人年金保険料」の3つに分かれています。

旧制度では「生命保険料」「個人年金保険料」の2つの区分です。控除額の上限も異なり、新制度では各区分で最大4万円、合計12万円の控除が可能です。旧制度では各区分で最大5万円、合計10万円の控除が可能でした。控除額の計算方法にも違いがあります。

新制度では、控除額計算の際の控除率が低く設定されています。同じ保険料を支払っても、新制度の方が控除額が少ないです。新旧制度の併用が可能で、有利な方を選択可能です。新旧制度の違いを理解し、自分の契約状況に応じて適切な控除を受けましょう。

生命保険料の控除額の計算方法

生命保険料の控除額計算方法は、新旧制度で異なります。新制度では一般生命保険料、介護医療保険料、個人年金保険料の3種類ごとに計算し、最大12万円まで控除可能です。旧制度では一般生命保険料と個人年金保険料のみが対象で、最大10万円まで控除できます。

複数の保険に加入している場合は、種類ごとに合算し、新旧両制度加入の場合は有利な方を選択できます

新制度に基づく控除額の計算方法

新制度に基づく控除額の計算方法は、一般生命保険料、介護医療保険料、個人年金保険料の3区分で計算するのが特徴です。各区分の年間支払保険料に応じて、控除額が決まります。計算方法は以下のとおりです。

  • 年間支払保険料が2万円以下:全額控除
  • 年間支払保険料が2~4万円:支払保険料×1/2+1万円
  • 年間支払保険料が4~8万円:支払保険料×1/4+2万円
  • 年間支払保険料が8万円以上:一律4万円

3区分の合計額が最終的な控除額となりますが、控除額の上限は12万円です。新制度は、2012年1月1日以降に契約した保険が対象で、より細かく控除額を計算できるようになりました。

旧制度に基づく控除額の計算方法

旧制度に基づく控除額の計算方法は、2011年以前に契約した生命保険に適用されます。旧制度の計算方法は、一般生命保険料控除、個人年金保険料控除の2つの区分です。計算方法は以下のとおりです。

  • 年間支払保険料が5万円以下:全額控除
  • 年間支払保険料が5~10万円:支払額×1/2+2万5千円
  • 年間支払保険料が10万円以上:一律5万円

旧制度に基づく控除額の計算方法は、一般生命保険料と個人年金保険料のそれぞれに適用されます。しかし、2011年以前の契約では介護医療保険料は一般生命保険料に含まれるため、別途計算する必要はありません。

控除額は一般生命保険料控除と個人年金保険料控除の合計で、上限は10万円です。2011年以前の契約のみをお持ちの方は、旧制度の計算方法で控除額を算出しましょう。

新制度と旧制度の双方に加入している場合の計算方法

新制度と旧制度の双方に加入している場合、控除額の計算方法が複雑です。しかし、正しく計算することで、最大限の節税効果を得られます。計算方法は以下の手順を参考にしてください。

  1. 新旧制度の控除限度額確認
  2. 新制度の保険料合計を算出
  3. 旧制度の保険料合計を算出
  4. 新制度の控除額を算出
  5. 旧制度の控除額を算出
  6. 新旧制度の控除額の合計を算出

合計額が12万円を超える場合は、12万円に調整しなければなりません。控除額が最大になるよう新旧制度の配分を最適化しましょう。最大限の節税効果を得られます。新旧制度双方に加入している場合は手間がかかりますが、正確に計算することで大きな節税効果が期待できます

計算が難しい場合は、税理士や保険の専門家に相談することをおすすめします。

にじおと
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ネット上には保険会社が作った計算サポートツールが掲載されています。金額を入力するだけで自動計算してくれるため便利です。

生命保険料控除の手続き方法

生命保険料控除の手続き方法は、年末調整と確定申告の2つです。年末調整では勤務先に控除証明書を提出し、確定申告では申告書に控除証明書を添付して提出します。

控除証明書は保険会社からおおよそ9月以降、順次発送となります。年末調整や確定申告の時期より数ヶ月早いため、紛失しないよう大事に保管してください。

保険料を年払いで払っている契約は、発送時期に注意が必要です。基本的に控除証明書はその年の保険料引落完了後に発送となります。そのため11月や12月の年払い契約の場合、年末調整までに控除証明書が届かない可能性があります。月払いに変更する、確定申告をする、会社に年末調整の提出を待ってもらうなど対応が必要です。

年末調整での申告方法

年末調整での生命保険料控除の申告方法は簡単です。会社から配布される「保険料控除申告書」に必要事項を記入します。記入後に保険会社から送られてくる「控除証明書」を添付して、会社の担当者に提出するだけです。提出の際は、以下の点に注意しましょう。

  • 提出期限の確認
  • 控除証明書の添付忘れがないか確認
  • 記入ミスや漏れの確認

提出期限を確認し、余裕を持って提出しましょう。提出期限をすぎても確定申告すれば大丈夫です。複数の保険に加入している場合は、すべての控除証明書を忘れずに添付してください。記入ミスや漏れがないか再確認することも重要です。申告後は、控除証明書のコピーを保管しておくのがおすすめです。

不明点がある場合は、会社の担当者や保険会社に確認しましょう。簡単な手続きで、生命保険料控除を受けられます。子育て世代の方々にとって、家計の負担を軽減する大切な機会となるので、忘れずに申告してください。適切に申告すると、税金の還付や控除を受けられる可能性があります。

確定申告での申告方法

確定申告で生命保険料控除を申告するには、確定申告書の第一表と第二表を記入します。生命保険料控除証明書を用意し、確定申告書に転記しましょう。申告の手順は以下のとおりです。

  1. 控除証明書の情報転記
  2. 控除額の計算と記入
  3. 控除証明書の添付

控除証明書の情報を確定申告書に転記し、控除額を計算して所得控除欄に記入します。控除証明書を確定申告書に添付します。記入した確定申告書を税務署に提出するか、電子申告を行ってください。控除証明書は5年間保管しましょう。確定申告を行うと、生命保険料控除を適切に受けられます。

手続きを間違えると、控除を受けられない可能性があるので注意してください。

生命保険料控除で節税するポイント

生命保険料控除を最大限活用することで、節税効果はより大きくなります。ポイントは以下のとおりです。

  • 複数の保険種類を組み合わせる
  • 収入がある人を契約者にする
  • 収入が多い現役中に保険料を払いきる

複数の保険種類を組み合わせる

生命保険料控除は一般生命保険料控除、介護医療保険料控除、個人年金保険料控除、それぞれに限度額があります。一つの枠だけではなく、複数の保険に加入して控除枠を最大限に活用しましょう

例えば、ただ銀行で老後資金の準備をするのであれば、個人年金保険で準備をすることで控除枠を使える分、お得に貯蓄をすることができます。

にじおと
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保険を検討する際には、どの控除枠に該当するのか確認するようにしましょう。

収入がある人を契約者にする

生命保険料控除は税金の負担を軽減できる制度です。収入がない主婦や学生の人はそもそも払う税金がないため控除を使うことはできません。

加入当時は収入があったが今は主婦で収入がないという方は、契約者を配偶者にすることで、控除をフル活用することができます。逆に加入当時は専業主婦だったため、契約者を配偶者にしたが、現在は収入があるという方も契約者を自身にすることで、夫婦で控除を使うことができます。

現在の収入の状況を踏まえ、最適な契約者選びをしましょう。

収入が多い現役中に保険料を払いきる

年収によって生命保険料控除による節税効果は大きく変わります。年収が高くなるほど節税効果も大きくなる傾向があります。節税効果を年収別にまとめました。

  • 年収300万円:約1〜2万円
  • 年収500万円:約2〜3万円
  • 年収700万円:約3〜4万円
  • 年収1000万円:約4〜5万円

年収が高くなるほど適用される税率が上がるため、控除による節税効果も大きいです。所得税と住民税の節税額にも違いがあります。所得税の方が税率が高いので、所得税での節税効果がより大きくなる傾向があります。

終身保険などの一生涯保障が続くタイプの保険を、収入が多い現役中に払いきってしまう契約内容にすることで、節税効果を上げることができます。生命保険料控除には上限額があるため、年間保険料と相談しながら、払込期間を検討しましょう

生命保険料控除の注意点

生命保険料控除の注意点をまとめました。生命保険料控除を申請する方は参考にしてください。

控除対象にならない契約がある

生命保険料控除は保険名称で決まるわけではなく、保険の内容で決まっています。以下のような保険では控除対象外であったり、控除になる枠が一般的な保険と異なる可能性があるため注意が必要です。

  • 保険期間が5年未満の貯蓄型保険は対象外
  • 身体傷害のみ保険金が支払われる傷害特約は対象外
  • 還付金(積立機能)がある医療保険は一般生命保険料控除部分と介護医療保険料控除部分に分かれる
  • 介護付定期保険のような死亡保険がついているものは一般生命保険料控除の対象
  • 「個人年金保険料税制適格特約」が付帯されていない個人年金保険は一般生命保険料控除対象

上記以外にも注意が必要な保険は多くあります。控除証明書の内容を見たり、保険会社に問い合わせることで確認するようにしましょう。

控除証明書を紛失した場合

控除証明書を紛失した場合は、再発行を依頼しましょう。再発行の手続きを行うと、生命保険料控除を受けることが可能です。加入している保険会社に再発行を依頼してください。多くの保険会社では、オンラインで控除証明書をダウンロードできます。

オンラインで控除証明書をダウンロードできれば、すぐに必要な書類を入手できます。オンラインサービスがない場合は、保険会社のコールセンターに問い合わせましょう。紛失した旨を説明し、必要な情報を提供すると、再発行の手続きを進めてくれます。

再発行には数日から1週間かかる場合があるので、余裕を持って依頼してください。再発行の費用は通常無料ですが、保険会社によっては有料の場合もあります。事前に確認しましょう。控除証明書の紛失を防ぐためには、以下の対策が有効です。

  • 控除証明書のコピー
  • 電子データ保存
  • 安全な場所に保管

確定申告の期限に間に合わない場合は、概算での申告も可能です。後日、正確な金額で修正申告を行えます。紛失した場合でも適切な対応を取れば、生命保険料控除を受けられます。落ち着いて行動しましょう。

年の途中で見直した場合控除額が変わる

保険料控除はその年の1月1から12月31日までの保険料が対象になります。年の途中で保険を解約したり保障内容を見直した場合、その年の控除額が変わります。控除証明書発行前であれば、変更後の内容で届くため問題ありません。しかし、発行の直前や発行後の見直しの場合、再発行をしないと変更後の控除証明書は発行されません

年末調整までに変更後の控除証明書が届かないときは、確定申告が必要になります。保険を見直した年は、控除証明書が変更後の内容かどうか必ず確認し、必要であれば年末調整に間に合うよう、早めに再発行するようにしてください。

生命保険料控除に関するよくある質問

生命保険料控除に関する質問をまとめました。控除の申告忘れや転職時の扱いなど、多くの方が気になる点について説明します。

生命保険料控除の申告忘れの対処法は?

申告忘れに気づいた場合、すぐに対応しましょう。年末調整の申告忘れであれば、確定申告で申告できます。確定申告の期限である翌年3月15日までに手続きを行ってください。還付請求には「更正の請求」という手続きが必要です。税務署に以下の書類を提出しましょう。

  • 控除証明書
  • 給与所得の源泉徴収票

また確定申告を忘れても、5年間さかのぼって還付請求が可能です。申告漏れに気づいた際は、確定申告で修正申告を行うと、控除を受けられます。修正申告では以下の点に注意が必要です。

  • 過去の控除証明書が必要になる
  • 手数料がかかる場合がある
  • 還付金の支払い時期を確認する

保険会社から送られてくる控除証明書は、基本的には5年間大切に保管しましょう。

転職した場合の生命保険料控除は?

転職した場合でも、生命保険料控除の申告は可能です。転職先の会社でも、前職と同様に生命保険料控除を受けられます。しかし、前職での控除額と転職先での控除額の合計が、年間の上限額を超えないよう気をつけなければいけません。

転職の時期によっては、年末調整で申告できない場合があります。年末調整で申告できないと、確定申告で申告することになります。前職と転職先の両方の控除証明書を保管しておきましょう。転職先で新しい生命保険に加入した場合も、控除の対象となります。団体生命保険に加入した場合も控除の対象です。

転職に伴い保険を解約した場合は注意が必要です。解約返戻金が一時所得として課税対象になる可能性があるためです。海外転勤の場合は、日本の生命保険料控除が適用されない可能性があります。転職後も継続的に生命保険料控除の適用状況を確認しましょう。
» 生命保険の解約返戻金とは?満期保険金の違い

まとめ

生命保険料控除は、子育て世代の方々にとって大切な節税方法です。最大で所得税は年間12万円、住民税は年間7万円の控除が可能で、家計の助けになります。新旧制度があるため、加入時期や保険の種類に注意しましょう。控除額の計算方法を正しく理解し、適切に申告することが大切です。

にじおと
にじおと

保険で最も大事なことは保障です。控除を使いたいからと、無駄な保険に加入しないようにしましょう。

生命保険料控除を申告する際は、年末調整や確定申告で手続きを行います。控除証明書はしっかり保管しましょう。申告漏れにも気をつけてください。年収によって節税効果が変わるため、自分の状況をよく把握しましょう。転職時や申告忘れの対応方法も知っておくと安心です。

生命保険料控除を上手に活用すれば、家族の保障を得ながら税金を節約できます。
» 生命保険とは?仕組みや種類を解説